私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『はじめてのインターンシップ―仕事について考えはじめたあなたへ』(渡辺三枝子・久保田慶一)

 『はじめてのインターンシップ―仕事について考えはじめたあなたへ』

渡辺三枝子・久保田慶一 アルテスパブリッシング 2011年 

はじめてのインターンシップ 仕事について考えはじめたあなたへ(単行本)
渡辺三枝子 久保田慶一
アルテスパブリッシング
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大学生の就職についての本をちょいちょい探しているのですが、なかなかいいのがありません。

なんというか、経験論的すぎるんですよね、この分野。大学生の就職支援なんて、ほぼ全てが大学で行われる活動なのに、大学の良さが入ってきてないんですよ。つまり、エビデンスベースドになっていない。なぜー!って思いますが、まあ、就職支援が事務方の仕事だったのが要因でしょうね。

そうすると、この分野の本は、だいたい、「敏腕就職支援課の俺が考える最強の就職支援」みたいなのばっかりになります。実際、「なぜ●●大学は就職率が100%なのか?」みたいな自慢本いっぱい出ております。ぐえー。

そんなところに、渡辺先生という光。

キャリア心理学の専門家でありあんがら、なぜか就職課と協働していたりして、エビデンスベースドかつアカデミック的興味も満たす上、実用にも使えるような本をいくつか書かれています。慈悲に溢れている…。

『はじめてのインターンシップ』は、インターンシップに行く学生さんにはぜひ読んでほしいです。テクニカルなアドバイス(礼儀作法とか)の他、事前に自分なりに考えておくことなどが整理されています。

なんでもやってみることは大事ですが、なんとなくやるのは時間の無駄です。事前にこのような本を読んで、実のある時間にしていけるように準備しておくのがおすすめです。

でも、まだインターンシップがどうとか考えられないなあ、どうしたらいいんだろう、という人には、こちらがおすすめです。ワークブックに書きこみながら、自分の大学生活の体験の意味を整理してみてください。

 

『大学生のためのデザイニング・キャリア』

渡辺三枝子・田中勝男・高野澤勝美・五十嵐浩也 ナカニシヤ出版 2011年 

 

大学生のためのデザイニング・キャリア
渡辺 三枝子 田中 勝男 高野澤 勝美 五十嵐 浩也
ナカニシヤ出版
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2015年の各月まとめ

2015年の各月のまとめです。

今年も本棚の下僕でいたいですね。

 

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2015年11月・12月の記事のまとめ

「11月・12月のまとめ」と題していますが、12月は書いてないのでくっつけただけです…。2015年の11月・12月はろくなことがなかった…。

 

ということで、副読本1冊だけです。

 

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『生理心理学―脳のはたらきから見た心の世界 第2版』(岡田隆・宮森孝史・廣中直行)

『生理心理学―脳のはたらきから見た心の世界 第2版』

岡田隆・宮森孝史・廣中直行 サイエンス社 2015年

 

生理心理学―脳のはたらきから見た心の世界 (コンパクト新心理学ライブラリ)

2016年最初の心理学読書がこれでした。

職業上どうしても必要になり読んだのですが、なかなかよかった。ただ、この分野は教科書が少なく、競争によるブラッシュアップが行われていない印象です。そのため、もうちょっとがんばってほしいなあ、というところがぽつぽつありました。

その最大のものが…図解!!!

サイエンス社のこのシリーズは、たしか、右ページが図や表やコラムになっているという構成なのですよね。その、図が、やばい。なんか、四角と矢印だけで神経系の経路とかが説明されれて…もうちょっと…人間の身体器官と同じ配置にしたりとか…してほしいかな…って…。

というわけで、この1冊で学びきれるとは到底言いきれないのですが、かといってファーストチョイスでこの本を上回るものがあるわけでもないので、まずはこれを読むところからはじめよっか…という感じです。

なお、たぶんこの分野の人はここに入っているだろうと思われる学会は日本生理心理学会ですが、ここは論文が無料で読める上、早期公開までしてくれているのでありがたやありがたやという感じです。

生理心理学会

そして、学会大会では、「ラジングスター・セッション」という時間があるらしい…。ものすごく…のだめカンタービレ…。

のだめカンタービレの登場人物 - Wikipedia

 

 

ちなみに、生理心理学の勉強のために一応こちらも買ってはみたのですが、測定の話メインだったからちょっと違うかな、と思い、パラパラめくってそっ閉じでした。

 

『生理心理学―人間の行動を生理指標で測る』

堀忠雄 培風館 2008年

 

生理心理学―人間の行動を生理指標で測る (心理学の世界 基礎編)
堀 忠雄
培風館
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『ピネル バイオサイコロジー―脳 心と行動の神経科学』(ジョン・ピネル)

『ピネル バイオサイコロジー―脳 心と行動の神経科学』

ジョン・ピネル 西村書店 2005年

 

ピネル バイオサイコロジー―脳 心と行動の神経科学
ジョン ピネル
西村書店
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個人的に、心の中で、単に「ピネル」と呼んでいます。

「ピネル」は思い出の本なんですよね。大学院の受験勉強のとき、精神科薬の薬理を勉強しなきゃならなくなって、図書館で手にとって「俺が探していたのはお前だよ!!!」って思ったのが初めての出会いで、もうあれから8年くらい経つのか…思えば遠くに来たもんだな…っていう。

しかし、大学の頃は、1冊5000円なんて、高くて買えなかったわけです。なので、誰も借りたそうにはしていなかったのをいいことに、返しては借り、借りては返しして、受験勉強に使っていました。

そ・れ・が!

俺は大人になった!

本は3000円までは、即決現金購入をするようになった!!!

そしてとうとう、熟考3秒の末、Amazonで買った!(でも古本で。)

ということで、8年越しの思いが叶い、晴れてピネルは俺の手元に来たわけです。大歓喜!!!

 

ピネルはいい本だと思います。説明が丁寧だし、適切な図表が初学者の理解をアシスト&サポート!また、ちょいちょい挟まる事例的コラムもなかなかおもしろみがあり、バイオサイコロジーというつかみどころのない科目を、身近なものに感じさせてくれます。

正直、8年経って、もっと新しく、もっとイケてる教科書を、Amazonさんがサジェストしてくれるのではないかとも思っていたのです。しかし、普通にいまも売っています。2005年に出た本だから、10年戦士ですよ。芸能人なら押しも押されもせぬスターになりかかっている感じです。

スター性を求めている人は、ぜひお手に取ってみてください。

 

今日のもう一冊はこちら。こちらは熟読しようと思って、最近カバンに入れて歩いています。ピネルと違って軽いので、カバンに入れて持ち歩ける。

 

『生理心理学―脳のはたらきから見た心の世界』

岡田隆・宮森孝史・廣中直行 サイエンス社 2015年 

 

生理心理学―脳のはたらきから見た心の世界 (コンパクト新心理学ライブラリ)

『私には女性の排卵が見える―共感覚者の不思議な世界』(岩崎純一)

『私には女性の排卵が見える―共感覚者の不思議な世界』

岩崎純一 幻冬舎 2011年

 

2016年になってしまいました…。

今年はいい年になってほしいですね…。

 

さて、去年読んだ本を紹介します。

『私には女性の排卵が見える』です。

インターネットの書評で、興味深い引用をいくつか見たので、読んでみようと思って買いました。

タグに、「作者が精神疾患体験者」をつけましたが、共感覚精神疾患じゃないです。「当事者が書いたよ」くらいの意味でつけております。あんまりタグ増やすのもよくないので。

 

この本の感想ですが、結論から言うと、「興味深いが、興味深いだけ」という感じです。

著者は共感覚者で、東大中退。いまは普通にお仕事をしているそうです。共感覚者としては、音に色が見えたりするわけですが、さらに変わったことに、女性の排卵に色や音が伴っているように感じているのだそうです。

それ自体は十分興味深く、読んでよかったなと思うのですが、その先が…ね…。なんというか、「排卵を感じる能力は、昔の人にはきっとあったと思う、女性を孕ませてあげるのに重要な能力だ!」と論が進んでしまい、大変残念でありました…。

頭は良い人なのだと思いますが、大学を中退したために、考え方というものを誰かに付いて学ぶ機会がなかったのだと思います。

当事者による報告であっても、学術的な見方と上手に融合すれば、当事者・読者共に得るものが多いと思うのですが、一人で書いていると、どうしても「自分アゲ↑↑」的な部分が出てしまい、読者としては鼻白んでしまいます。

 

当事者の報告としては、未読ではありますが、「火星の人類学者」の人の本なんかはしっかりしてそうなので、いずれ読んでみたいと思っています。

書くときの客観性というのは、筆者にとってはストレスになるということはよくわかっていますが、しかし、そのストレスは読者の得るものを最大化するための投資なのだと思って書いてほしいと思います。

 

テンプル・グランディン - Wikipedia

 

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)
オリヴァー サックス
早川書房
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わたしの意見としては、感覚にはそもそも個人差があるので、共感覚者も非共感覚者もわーっと一緒に生きていける社会であればいいと思っています。その際には、どちらが偉いとかどうとか、(思っていても)言わないことが大切かなあと思います。

中学のときに、音楽の先生が、「いまどきの子どもは、後ろ向きに歩くのが苦手になってるらしい、これは退化だ、まずい!」って言ってたのを聞きながら、「つかわねー能力はなくなってもいいだろうがよ」と思ったのを思い出します。

共感覚が退化して、いまいる人々のほとんどが非共感覚者になったのかもしれませんが、だからといってそれは責めるべきか?ということです。必要になったらまた淘汰圧によって進化が起こるのですから、いま生きている個体が「かつてあった能力を取り戻そう!」とがんばる必要があるのかわかりません。というか、がんばればそのような能力を手に入れることができるのかそもそも不明です。

介入できないものに介入しようとすると、オカルトっぽくなるからやめたほうがいいよ、と思います。

 

なお、前後して、たまたま、感覚知覚心理学の本を買いました。感覚知覚心理学について、学術的にさくっと学びたい人はこちらをどうぞ。

綾部先生が編集しているので、嗅覚に1章割いてあります。珍しいと思う。

 

『スタンダード感覚知覚心理学

松井豊・綾部早穂・熊田孝恒(編) サイエンス社 2014年