『コミックユング―深層心理学入門』
石田おさむ 理想社 1989年
理想社
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表紙を見て、おおお、ユングがゆるい感じのキャラデザに…と思って、ゆるい気持ちで読みはじめたわけですよ。
そしたら!!!
めっちゃちゃんとしてる!!!
ちゃんと、というのは、伝記としての完成度が高い、ということです。
ユングの生涯はだいたいこんな感じですが、
『コミックユング』では、フロイトとの蜜月からの対立や、ユング自身の考えの深まりによる理論の変遷などがわかりやすくかつ的確に描かれていると思いました。
最初は、「劇画かよ!」って思ってちょっと敬遠してしまったんですけど、読み終えたときには、「劇画でよかったな…」と思いました。なぜかというと、加齢がわかりやすいんですよね。イラストっぽいマンガとか、少年少女誌向けのキャッチーなマンガとかの画風では、中年期、老年期に差し掛かったときに、妙に若く見えたりしてしまいますが、劇画だとそれがない。そのため、時系列が追いやすくなり、話が見えやすくなっていました。
マンガの構成自体も、なんていうんですかね、NHKの朝の連続ドラマ小説みたいな感じで、人々の会話と、説明的ナレーションで、サクサク進んでいきます。変にドラマティックに盛り上げたりしてなくて、誠実だなと思いました。もちろん、用語の解説も適宜入っているという親切設計です。
ユング心理学はおもしろいと思います。しかし、そのおもしろさは理論の中身だけにあるのではなく、理論の成立過程にもあると思うのです。だから、ユング心理学に少し触れたら、一度何かでユングの生涯について押さえておくのがオススメです。その方法の一つとして、『コミックユング』はなかなかにオススメであります。
そして、ユングの生涯をさらっと押さえたら、ユングの著作にも挑んでいきたいものですね。
わたしは、いま、先日高田馬場のBOOK・OFFで見かけたので買ってみた『内なる異性―アニムスとアニマ』を読んでいるところです。ちなみに作者のエンマ・ユングは、カール・グスタフ・ユングの奥さんです。『コミックユング』にも出てきます。
『内なる異性―アニムスとアニマ』
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