私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『他人を見下す若者たち』(速水敏彦)

 『他人を見下す若者たち』

速水敏彦 講談社 2006年 

他人を見下す若者たち (講談社現代新書)
速水 敏彦
講談社
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「著者が一番、他人を見下している…!」という感想を抱きました。

著者の速水先生のご経歴はこちらです。

速水敏彦 - Wikipedia

この本は、「仮想的有能感」の本です。「仮想的有能感」とは、実力がないのに、根拠もなく「俺はデキる」と思ってる状態のことです。この本が出た時点では、仮想的有能感の論文はまだあんまり出ていなかったみたいですね。

調べてみて、出てきた査読ありの無料論文は以下の通りです。(※おおよその刊行年順)

CiNii 論文 -  他者軽視に基づく仮想的有能感―自尊感情との比較から―:自尊感情との比較から

CiNii 論文 -  仮想的有能感と学習観および動機づけとの関連

CiNii 論文 -  仮想的有能感と日常の対人関係によって生起する感情経験 : 抑鬱感情と敵意感情のレベルと変動性に注目して

CiNii 論文 -  高校生における仮想的有能感と学業に関するコミュニケーション

CiNii 論文 -  仮想的有能感研究の展望

CiNii 論文 -  高校生における仮想的有能感と対人関係との関連:—仮想的有能感の変動に影響を及ぼす要因の検討

全然関係ないけど、抑うつのうつの字を漢字で書いているの、珍しいですね。近年は、「抑うつ」で統一されているものだと思っていました。

それは置いておいて、検索してみて思ったのですが、紀要が多いこと多いこと…。びっくりしました。雨後の筍のようでした。

速水先生の関わっている論文は、自尊感情や動機づけなど、ご専門の教育心理学っぽい内容になっているようです。他にも、就職の論文があった気がするんですが、どうだったかな…。

あ、有料でした。

CiNii 論文 -  大学生における仮想的有能感と就職イメージおよび時間的展望

 

しっかし、読後感は最悪です。

基本的な論調は、「昔はこんなではなかった」です。本を読んで不快な気分になりたいときにオススメです。(論文はそんなに不快じゃないです。「仮想的有能感の高い人は結構かわいそうな状態にある」という論調なので。)

『他人を見下す若者たち』を読んだ他の人の感想もなかなか否定的です。

red13x000.hatenablog.com

 

d.hatena.ne.jp

 

ところで、この本から得たことが2つあります。

1)紀要は、新書を書くときに引用しやすい。(だらだらとした分析の中から、気になるところをかいつまめるためだと思われる。)

2)青年は、現代社会から強く影響を受けていると見なされるので、青年を研究することで現代社会に言及することができる。(パイロットフィッシュ!)

ということで、マッド青年心理学者にならないように、自分を律して生きていこうと思います。

 

本日のもう一冊は、わかる人にはわかるやつです。著者つながり…とでも言いましょうか。

SPSSとAmosによる心理・調査データ解析〔第2版〕』
小塩真司 東京図書 2011年 

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小塩真司
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