『家族システムの心理学―〈境界膜〉の視点から家族を理解する』
亀口憲治 北大路書房 1992年
北大路書房
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家族ってなんだ?!って思ったことありますか。
わたしはしょっちゅう思っています。
わたしは生まれた家族では完全なるIP(Identified Patient)だったので、家族にはいい思い出がありません。それでも、非情なるかな、新しい家族を持つお年頃になってしまいました。
不安がないといえば嘘になります。
そしたら、本を読むしかないわけです。わたしの場合は。
『家族システムの心理学』は、家族療法家の先生の本です。家族療法とは、家族対象にした心理療法です。わたしは大学のときに、システムズ・アプローチに基づく家族療法の授業を履修したので、家族療法はほとんどシステムズしかしらないです。
心理学は、個人がどうなっているかに着目しがちです。ですが、家族療法では家族を全体としてとらえています。その視点から、健康な家族とは何がどうなっているのか、と切りこんでいきます。
そう、家族療法では、「健康な家族とは」というのを提言しているので、本を読んでおくだけでもためになるのです。だって、目指すべきものがないと、しょうがないじゃないですか。まさに、わたしのような人間は、予防的に読んでおくべき本と言えるでしょう。
わたしにとって、不幸と戦う武器は本だけです。
素振りのかわりにページを繰って、そうやって生きていくしかないのだな、と思うことがあります。
『家族システムの心理学』も、大変に使い勝手のいい武器のひとつです。
家族心理学だけではなく、臨床心理学全体を知りたい人には、『臨床心理学概説』などがいいかもしれません。大学のときに教科書指定されていたので持っています。しっかりした作りだったような曖昧な記憶があります。あ、でも、あんまり、いろいろな技法が書いてある本ではないかもしれません。しかし、基礎は大事ですからね。
『臨床心理学概説』
田中富士夫 北樹出版 1988年