私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『食べることの心理学―食べる、食べない、好き、嫌い』(今田純雄)

『食べることの心理学―食べる、食べない、好き、嫌い』

今田純雄 有斐閣 2005年

 

 痩せたいよね。

「じゃあ、運動しろ」

そういうくだりがあって、とても勉強になった本です。

『食べることの心理学』は、食べるという極めて日常的な行為に対して試みられた様々な心理学的アプローチを概観した本です。

え、食べるって、身体に関係するんだから、生理心理学しか関係なくない?って思う人もいるかもしれません。しかし、たとえば、家でごはんを食べるとき、全員が揃ってから食べるのか、各々好きな時間に食べるのか、など、食べるシチュエーションについて見てみると、家族心理学的な観点もあります。また、そのような状況から一番影響を受けやすいのは子どもであると考えられるので、発達心理学的な考察も必要になるでしょう。また、食べることを扱うに当たっては、食べることに関する障害に言及しないわけにはいきませんから、臨床心理学的な説明も必要です。「食べること」ひとつとっても、こんなにもこんなにも、考えなければいけないことがあるのです。

『食べることの心理学』は、食べるとはどういうことか、食べれないとはどういうことか、食べたいとはどういうことか、といった素朴な疑問を網羅する内容となっているので、どれかひとつでもピンときたら、手に取ってみて損はないと思います。そうそう、好き嫌いがとっても多い、なんて人にも、読んでみてほしいですね。

もちろん、痩せたいときはどう食べればいいか、というのも書いてあります。

本文中でも何度も出てきていましたが、「食べる量を控えめにし、たくさん運動をしなさい」が著者の結論のようです。

…そんなの、心理学の立派な本を読まなくたってちょっと知ってたよ!

という虚しい言葉が、みなさんのおなかに響くことでしょう。

でも、本当に立派な研究は、日常の感覚とそう食い違いはしないものですよね。そう、この本は、知的好奇心の観点から評価すれば、とても立派な本なのですよ。

あ、web上に目次がありましたので、置いておきますね。

食べることの心理学 | 有斐閣

 『食べることの心理学』の、誰と食べるのか、というあたりに興味を持ったら、次はこのへんなんてどうでしょう。

 

『家族システムの心理学―〈境界膜〉の視点から家族を理解する』

亀口憲治 北大路書房 1992年 

家族システムの心理学―〈境界膜〉の視点から家族を理解する
亀口 憲治
北大路書房
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こちらは、以前記事にしていますね。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com