『状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加』
ジーン・レイヴ エティエンス・ウェンガー 産業図書 1993年
この本、すごくよかったです。
ともすると、学習って、教室・黒板・机・椅子・教科書・ノート・教師・生徒、みたいなイメージになっちゃうじゃないですか。
けど、そうじゃないんだよ、って、言ってるんですね、この本は。
言ってしまえば、生きているということは学びの連続です。学校に行っていないから学んでないかっていうとそんなことないわけです。そういうことを言っています。
そんなことの書いてあるこの本を読んで、わたしは、自分の生きている世界と、わたしというものの関係性について、とても深く納得ができたと感じたのでした。
言ってみれば、学習によって社会は再生産されていて、その中ではあらゆるプレイヤーが、正統的周辺参加という方法をもって、それに関わっているのです。教わっていたのがいつのまにか教える方になって、といった具合に。
そう考えると循環的な理論ですよね。循環的な理論といえばやっぱりこの人のことも思い出されたりするわけです。
お世話されていたのがお世話する方になって、与えたりもらったりしながら社会の再生産に関与して、この世を卒業していくという人間像を持った理論ですよね、エリクソン理論も。
そういう、循環的なもののことを思うと、とても安心します。特に、うまくいっていないときに、それは救いであり希望です。
おまえは心理学の本を読んで感動したり希望を持ったりしているのか、と変な目で見られそうですが、実際のところ、そうです。
わたしは心理学に救われているんだなあ、という意味において、この本なんかは本来的に「癒し系」な本です。
救われたい人はぜひ。
なお、エリクソンのことはこちらなんかでご確認いただければと思います。
psychologicalbookshelf.hatenablog.com