私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう―』(小塩真司)

『性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう―』

小塩真司 新曜社 2011年

 

知っている人の本を書評を書くのは恥ずかしい…。

とりあえず、著者情報はこんな感じ。

 

早稲田大学 小塩真司研究室

 

twitter.com

 

心理学の本って横書きが多いのですが、この本は縦書きです。

なんとなく、横書き=研究の本、縦書き=教養の本、というイメージがあります。

サイエンス社のこのシリーズなんかも縦書きです。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

あと、『オオカミ少女はいなかった』も縦書き&新曜社です。企画的に結構似ているのかもしれません。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

心理学の道に入って10年、血液型性格判断との付き合い方っていまいちわかりません。

自分は齢30、いまだに自分の血液型を知らないので、「ナニ型だからナニな性格よね」という言説を自分もしないし、人のもスルーできるし、そもそも血液型性格判断のテンプレをいまだに覚えられない…というありさまだからです。というか、人の性格にあんまり興味ないのかも。最近は、「世の中にはいい人と苦手な人がおり、苦手な人からは距離を置く」というまるでゴキブリの走性のような動きでもって人間社会を乗り切っているような気がします。あれれ…パーソナリティ心理学会に入っているはずなのに…性格に興味がなくなってきている…?まずい…?

それはそれとして、心理学徒として、血液型性格判断を信じている人たちに心理学の知見を教え広めなくては…という使命感はあるのですが、そもそも自分にとって身近でないので、「本当に血液型性格判断なんて信じてる人いるのか…」と思ってしまいがちです。論破するにも、そういうことを信じている人に会ったことがあまりないので、論破する必要があるのだろうか…などと思ってしまいます。

もしかしたら、社会的に最強の血液型は「血液型不明」なのかもしれません。

さて、『性格を科学する心理学のはなし―血液型性格判断に別れを告げよう―』はタイトルの通り、血液型性格判断はおかしいよ、という切り口から、パーソナリティ心理学を紹介する本です。縦書きだけあって、心理学を勉強したことがない人向けで、読み進めるうちに方法論の仕組みについても少し明るくなります。紹介されているパーソナリティ理論は、入門書に出てくるものがきっちり紹介されています。さすが小塩先生、ちゃんとしている…。

しかしながら、小ネタもきっちり入っていて、ポケモンとかモンティ・パイソンとかいう言葉がちらほら出てきます。小塩先生は以前お会いしたときも何かモンティ・パイソンの話をしていた記憶があり、私の中では小塩先生=モンティ・パイソンのイメージです。

モンティ・パイソン - Wikipedia

…?!

プログラミング言語Pythonの名前の由来ってモンティ・パイソンなんだ?!ものごとは意外なところでつながりますな…。(拙宅の配偶者がPython勉強中なので。)

話がそれました。でも、こうやってそれていく余地も、縦書き本の魅力のような気がします。

最近は、学科名に「心理」と入っていないところに在籍する学生たちの教育に関わるようになり、そういうところで+αで心理学を勉強してもらうにはどうしたらいいのかなーと考えることが多いです。学科名の学問をちゃんとしてもらうのが優先なので、もし心理学をもっとしたいと思ったら自習してもらうしかないので、そういうときに薦められる本のリストみたいなものを自分の中で持っておきたいなと思います。いつ聞かれてもいいように。

この本は、そのリストに入るなぁと思いました。過度に教科書過ぎないところがいいです。学生の立場で考えると、「もうちょっと勉強したいんですけど、いい本ありますか?」と聞かれて、アレとかアレとか紹介されたら学習意欲が喪失してしまいます。(※アレには、任意の重くて高い本の名前をお入れください。)

この本を読んで方法論に興味を持ったら、たぶん小塩先生のミライシリーズを読むといいのだと思います。心理統計の本なのに、まさかの小説風。初学者には親しみやすいのではないでしょうか。

 

『大学生ミライの統計的日常』

小塩真司 東京図書 2013年 

 

『大学生ミライの因果関係の探求』

 小塩真司 ちとせプレス 2016年 

大学生ミライの因果関係の探究 ストーリーでわかる心理統計
ちとせプレス (2016-11-11)
売り上げランキング: 110,751