『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』
発売されたときに、Twitterなどで話題になっていた気がします。(そして、買って、積んでました。)
タイトル通り、「子育てする動物」をたくさん紹介している本です。それこそ、犬や猫から、トゲウオ、アリ、ゴリラまで扱っています。こうやってみると、日本の研究業界、まだまだ裾野広いじゃん、とうれしくなります。
おもしろいのは構成で、1人の研究者が1つの動物を担当して書いているのですが、最後に必ず「研究紹介」と「子育てエッセイ」がついています。逆にいえば、書いた人全員、子どもいるのですよね。
ス、スゴイ…。
「子育てエッセイ」のほうでは、自分の子育てと、自分の研究対象の動物の子育てを比べて皆いろいろと考えているようでした。また、研究と子育てとの両立や、両立ができなかった話なども紹介されていて、赤裸々だなと思いました。
しかしながら、子どもを持ったことについては皆一様に肯定的で、やはり、子どもを持つということはとても楽しい体験なんだなと思わされます。
私も、「ヒトの寿命は長い、ずっと一人、あるいは大人だけで暮らしていてもいつか飽きてしまうだろう。そんなときの暇つぶしとして、子育ては最適であるに違いない」と思って子どもを持ったので、忙しい中でも子育てに取り組み、それを肯定的に振り返るみなさんには好感を覚えました。
一方で、いろいろな動物のいろいろな子育てを紹介しつつ、「ヒトの子育ても多様でいい」というメッセージを投げかける本書に、私たちの社会が追いついていないのではないか、とふと思いました。
子育てに積極的に取り組みたい父親を応援できていない社会。子育てより労働のほうが得意な母親を家庭に閉じ込めようとする社会。私たちが暮らしている2020年の日本は、まだそういう社会です。他人の家庭になんやかや言いたいだけの人が多すぎるのがいまの日本社会ではないでしょうか。
ところで、ニホンザルの章の筆者は、「ニホンザルは他の個体の子育てに興味がないようだ」というようなことを書いています。うらやましいですね。少なくとも、日本の社会の構成員よりはリベラルですね、ニホンザル。同じ日本に暮らしているにもかかわらず。
私は常に、自由になりたいと思いながら暮らしているのですが、子育てに際しては特にそう思っています。ですので、第二子出産にあたってこの本が読めたことを幸運に思いました。
ちなみに、第一子のときにはこれを読みました。
何事においても、多様性を大切にしたいですね。
『こんなにちがう!世界の子育て』(メイリン・ホプグッド)
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