『セックスレスの精神医学』
阿部輝夫・著 ちくま新書 2004年
2022年から不妊治療が保険適用になりました。
一方で,国際的にみると,日本では現役世代においてセックスが下火です。なんなら,「セックスしないで妊娠できませんか」くらいで不妊治療を始める人たちもいるらしいと聞きます。
「セックスしたくないような相手と子どもを持ちたいか?!」と配偶者とびっくらこいでいたところ,この本をBOOK・OFFで見かけたので買って読んでみました。
2004年の本なので,「セックスレスだけど子どもが欲しい,セックスできるようになんとかできませんか,先生」みたいに精神科を受診してくる人たちを診察しましたよ,という内容です。いまの不妊治療は産婦人科医が診察するタイプですから,この本は,精神科医から見たセックスレス解消経由の不妊治療。それだけでもおもしろいです。
ED(勃起障害)の治療をはじめ,挿入~膣内射精ができるようになるまでに,夫婦のコミュニケーションを含めてこんなふうにしてみましょう,といろいろ紹介されています。事例もあって読みごたえがあります。
ちなみに,著者の先生,まだ現役で患者さんを診ているようです。千葉でクリニックを開いて診療をされているようなのですが,プロフィールと写真が見所です。これまで考案した治療法の名前や方法もおもしろいし,本の著者近影とサイトの写真,たぶん10年,なんなら20年くらい時間差があるのに,顔の特徴が全く変わらなくてすごい。ぜひ本を買って見比べてください。裏表紙に写真があります。
本書で紹介されているセックスレスの解消法は行動療法系なので,本を買って読めば実践できます。なので,セックスレスを解消したい人にはぜひ読んでほしいです。
なお,「セックスレスだけど子どもが欲しいって,何?!」と思っていた私ですが,事例を通してそのような人々の少しわかりました。よい読書でした。
『やさしさの精神病理』も精神科の先生の本でしたが,精神科の先生の本の独特のおもしろさってなんなんでしょうね。とってもいいですね。
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