『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』
針生悦子・著 中央公論新社 2019年
腰を据えて何かをする時間はないが勉強をしたいときには,新書ですね,やはり。
『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』,まさにタイトル通りの本でした。
発達心理学の教科書には,「1歳ごろになると”ママ”や”パパ”などの初語が見られ,2歳ごろになると”ワンワン イル”などの二語文が見られるようになります」というようなことが書いてありますね。
なんでだ?
ということをちゃんと学んだことがなかったので,この本を読みました。
結論としては,赤ちゃんは生まれた直後からわけわからん言語の話されている意味不明な環境に身を置いてリスニングを鍛えまくり,かつミルクを飲んで体を大きくして口腔内が広くなり,やっとのことで1歳ごろに初語を発するようになる,とのことでした。
しゃべり始める前に1年もただ言葉を聞いて過ごすなんて修行のようだ…。
そう,「赤ちゃんの言語獲得は大人よりスムーズ」なんてことは全然ないんだよ!!!赤ちゃんも(意図的にではないが)超がんばってんの!!!というのがこの本の超大まかな結論です。
各段階の言語発達について,大人と比べた比喩を入れてみたり,実際の観察や実験のデータを豊富に紹介したりと,発達心理学の教科書でさらっと図表になって流れてしまう内容の隙間をきっちり埋めてくれる内容の本でした。こういう本がね,ありがたいんですよ…。心理学を楽しむときに手軽でね,最高。
そして,育った子どもはだんだんと会話というダイナミックな言語活動にトライしていくのですよね。
言語の発達,ほんと,ドラマチックです。
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