私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『よくわかる青年心理学 第2版』(白井利明・編)

『よくわかる青年心理学 第2版』

白井利明・編 ミネルヴァ書房 2015年

 

 

 

「よくわかる」シリーズの、青年心理学の本です。

「よくわかる」シリーズは、こんなかんじでいっぱいあります。(『よくわかる心理学』は読んでいないですが、代表的なものとして紹介します。)

 

だいたい、見開き単位で1トピック紹介してある作りで、義務教育のテキストを彷彿とさせるデザインです。簡潔にまとまっている分、詳細な議論が紹介されていないという弱点はありますが、それを差し引いても、秀逸な方向性を持った本だといえるでしょう。なにせ、「よくわかる」と銘打っているのですから。

また、詳細な議論を紹介することができない分は、参考文献がしっかり記載されていることで補われています。もっと知りたくなったら、参考文献に当たればいいのです。

『よくわかる青年心理学 第2版』についていえば、とても網羅的です。偏りがないです。そのため、青年心理学の全体像を把握しておきたい人には間違いなくオススメです。たとえば、中高の教員を目指す人や、大学の卒論を青年心理学領域で書こうと思っている人なんかには、手に取ってほしいと思います。

青年心理学には、青年視点の研究と、大人視点の研究があると言われています。前者は研究者が青年のときに考えていたことに基づいた研究、後者は大人が青年に関わる際に必要であるために行われる研究です。この本は、かなり強く、後者です。そのため、青年に読んでほしいというよりは、青年に関わる大人の人に読んでほしいと思います。

執筆者には、日本青年心理学会でお見かけするちゃんとした先生方が名を連ねています。

日本青年心理学会 - NetCommons学会パック

ちなみに、「よくわかる」シリーズでは、執筆者が顔写真つきで紹介されているので、「この顔の人がこの研究を…」と思いながら読むととても楽しいです。動機が不純かもしれませんが、そういうのも、専門書を読む上でのひそかな楽しみだったりします。いいのです、牛に引かれて参拝しても、善光寺はすごい功徳なのよ、と昔の人も言っているので。

話がそれました。

『よくわかる青年心理学 第2版』は網羅的な分あっさりしていて、データに基づいている分色気がないですので、もうちょっと色気のあるテキストを探している人には、『やさしい青年心理学〔新版〕』(白井利明・都筑学・森陽子)がいいかもしれません。

 

 

『やさしい青年心理学〔新版〕』

白井利明・都筑学・森陽子 有斐閣アルマ 2012年

 

やさしい青年心理学 新版 (有斐閣アルマ)
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有斐閣
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