『パーソナリティ心理学入門:ストーリーとトピックで学ぶ心の個性』
鈴木 公啓・荒川 歩・太幡 直也・友野 隆成(著) ナカニシヤ出版 2018年
(学会に行ったときに著者に押し売りされました・笑)
2021年の初読み(?)がこの本でした。
パーソナリティ心理学会の会員なのに、パーソナリティ心理学がワカル!という感覚が全然なくてですね、せっかくなので腰を据えて読んでみました。
副題に、「ストーリーとトピックで学ぶ」とあるように、各章の頭に登場人物による会話が入っていて、そこに出てくる用語がそのあと本編として解説されているという流れです。
しかし、ストーリーの登場人物のキャラが濃い。
ヒューマノイドA:人工知能搭載のロボット。人間らしさを求めて中学校に通っている。
マッドサイエンティスト馬田:男性。ヒューマノイドを作った人。すごい研究者らしい。
ジョージ:男性。アフリカ系アメリカ人のロボット工学の研究者で、馬田の研究所で働いている。ゲイ。双子のきょうだいがいるらしい。
キム:女性。馬田の研究所で働いている。韓国人。心理学を勉強した後、人工知能の研究者になった。足が悪く、車いすに乗っている。ジョージに告白したけど振られた。
全体的に濃すぎでは???あと、ジョージとキムの恋バナ必要?!?!
これ、教科書として使ってもらうことも想定しているようですが、この濃いストーリー部分を教員が読み上げるとしたら…ちょっと恥ずかしい///
構成は、前半は社会心理学と被る部分がありつつ、後半に進むにつれて、パーソナリティ心理学の内容が多くなる感じでした。また、統計についても必要に応じてバラバラにページが割かれているので、「統計の章ドーン!」とやられると学習意欲をなくしてしまう学部生の気持ちをよくご存じですね、おやさしい…と思いました。
各用語が1~3ページ程度で解説されていて、スキマ時間に読むにはうってつけでした。
本の最後に尺度集もついているので、パーソナリティ心理学のテーマで卒論を書きたい人は2年生か3年生のときにざっと読んでおくのがよさそうです。
教科書としてはもちろんですが、独学でも使える本だと思いました。
パーソナリティ心理学といえば、この本なんかも本棚に眠っております。パーソナリティ心理学の本じゃなくて、パーソナリティ心理学のための統計の本です。
『パーソナリティ心理学のための統計学:構造方程式モデリング』
尾崎 幸謙・荘島 宏二郎(著) 誠信書房 2014年
そういえば、『パーソナリティ心理学入門』には、クロニンジャーの理論も載っていました。1ページしかなかったので、物足りない人は木島先生の本を読むといいと思います。