私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

『教師のためのエンカウンター入門』(片野智治)

『教師のためのエンカウンター入門』

片野智治(著) 図書文化社 2009年 

 

教室で構成的グループエンカウンターを行っている学校の先生は多いのだと思いますが、全員がちゃんと理論の本を読んでいるのだろうかと考えると、やや暗い気持ちになります。
ちゃんと読んだ方がいいなあと感じながら過ごしている先生におすすめなのが、この本、『教師のためのエンカウンター入門』です。
まず、薄い。80ページくらいしかない。読みやすい。忙しい学校の先生でも手軽に読めます。
もちろん、代表的なエクササイズも少し紹介されています。発展的な本に載っている、1コマ使う大きなエクササイズではなくて、小さいエクササイズ中心です。でも、派手でなくても、日々のエクササイズで、丁寧に学級を創っていくことは十分に可能ですよね。
むしろ、自分が親の立場だったら、自分の子どもには、朝の会や帰りの会などの短い時間にふれあいがあるクラスに在籍してほしいです。反対に、参観日になんかすごいことやるクラスはちょっといやだなあ。
この本は、前述の通り、丁寧にクラスの雰囲気を作りたい学校の先生におすすめです。あと、教職課程を履修している心理系の学生なんかにも、ぜひ手にとってもらいたいですね。心理学をメインに学んで教壇を目指すからには、心理学の実践が強みになると思いますし、その強みというのは、心理学的諸技法を背景まで理解した上で使いこなせることだと思うからです。「ちょっとできます」ではなく、「どのような目的でこの技法が開発されてきたのか知っています」というレベルで教室で実践してもらいたいものです。だって、教科教育を専門とせずに教壇を目指すのだから、強みは必要でしょう?職員室の多様性のためにも、そういう先生がいてくれるとうれしいなと思います。
この本を読んで、いろいろ取り組みたくなったら、エクササイズ集も参考になります。

 

 『エンカウンターで学級が変わる〈part2〉中学校編』

国分康孝(監修) 国分久子・片野智治(編) 図書文化社 1997年