私家版・心理学の本棚

じょー、本を読んでいろいろ書くことを決意。

2015年9月22日の買い物

日本心理学会第79回大会にて、1冊買いました。

 

『キャリア・コンストラクション・ワークブック:不確かな時代を生き抜くためのキャリア心理学』

安達智子・下村英雄 金子書房 2013年

 

キャリア・コンストラクション ワークブック: 不確かな時代を生き抜くためのキャリア心理学

前から欲しかった本です。

とりあえず、表紙がおもしろいですね。帯に書くような本の紹介が、表紙に直に書いてあります。

本の構成としては、自分のことをワークの部分に書きつつ、それを事例として、キャリア心理学の理論を身近に学ぼう、といった感じでしょうか。

15章構成ですが、1章が短めなので、とっつきやすいかもしれません。なお、各章独立らしく、どの章からやってみてもいいそうです。たしかに、目次を見るに、「2章をやらずに5章をやっても意味わかんないんじゃない?」という感じではないですね。

執筆者は7人ですが、そのうちの2人には今回の学会でお会いしていることにいま気がつきました。また、それとは別の2人に、以前別の機会にお会いしたことがあるので、7人中4人を知っているという…。個人的に親しみやすい本で、読むのが楽しみになってきました。

今回買ったのはこの1冊だけです。

 

あと、こちらもチェックしてみたのですが、結局買いませんでした。

中身はほぼワークでした。

 

『毎日おこなう弁証法行動療法自習帳』

マシュー・マッケイ ジェフリー・C・ウッド 星和書店 2012年

 

毎日おこなう弁証法的行動療法自習帳
マシュー・マッケイ ジェフリー・C・ウッド
星和書店
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 書店の人に聞いたら、こちらとセットで持っていたほうがいいそうです。

 

弁証法行動療法実践トレーニングブック:自分の感情とよりうまくつきあってゆくために』

Matthew McKay・Jeffrey C.Wood・Jeffrey Brantley 星和書店 2011年

 

手にとっても買わなかったということは、きっとわたしが治ってしまったということでしょうね。

治ってしまったら、治りたいとは思わないんですねえ。当然と言えば当然ですが。

 

なお、今年度の学会発表は全て終了いたしました。あとは、見に行くのが1件だけです。

そのときに、『現代社会と応用心理学1 クローズアップメンタルヘルス・安全』が買えるといいなあ。福村書店の人に聞いたら、見に行くだけの学会が開催される頃には刷り上がっているはずだ、という話だったので。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

ともあれ、もりもり読まねばなあ。

『手にとるように発達心理学がわかる本』(小野寺敦子)

 『手にとるように発達心理学がわかる本』

小野寺敦子 かんき出版 2009年

 

手にとるように発達心理学がわかる本
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2015年9月6日の買い物

応用心理学会第82回大会にて、2冊買いました。

  

現代社会と応用心理学1 クローズアップ学校』

藤田主一・浮谷秀一 福村出版 2015年 

現代社会と応用心理学1 クローズアップ「学校」

福村出版
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 『現代社会と応用心理学2 クローズアップ恋愛』

大坊郁夫・谷口泰富 福村出版 2013年 

 

応用心理学会の企画です。

書籍 | 日本応用心理学会

全7冊のシリーズになるようですが、まだ出ていない『メンタルヘルス・安全』もおもしろそうなので、出たら買おうと思います。

 

『クローズアップ学校』は、26章構成、『クローズアップ恋愛』は25章構成です。1トピックが短めなんですね。

『クローズアップ恋愛』のほうは、恋愛とタイトルにつけていながら、結婚や家庭生活、離婚など、恋愛の後のことまで含めているので、とても役立ちそうです。(今後のわたしの人生に。)

恋愛のまとめ本といえば『イラストレート恋愛心理学』がありますが、少し出版から日が経っていますし、結婚後のことにはあんまりページを割いていないので、『クローズアップ恋愛』は新規性のある企画だと思います。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

ちなみに、『イラストレート恋愛心理学』の齊藤勇先生は、応用心理学会の名誉会員です。応用心理学会には、齊藤先生の寄附による若手の会費補助制度があります。

年会費のご案内 | 日本応用心理学会

なんとすばらしい先生でしょうか…。

 

しかし、恋愛本、応用心理学会系で支えられているのですね。

実際に研究している人としては社会心理学の人が多いような気がしますが、社会心理学会ではまとめ本の企画はないのでしょうか。ないとしたら、なんだか不思議な感じですが。

 

ところで、『クローズアップ学校』のほうは、刷り上がったばかりで、まだ書店には並んでいないそうです。担当者の人が、刷り上がった山から、今回学会スペースに出す分だけ抜いて持ってきた、と言っていました。

そっかー、と思っていま改めて開いてみたら、ページがふわふわです。『クローズアップ恋愛』のほうはそうではないので、おそらく、刷り上がってからしばらく積んでおかないと、ページが固くならないのでしょうね。

新鮮な本、という概念もあるのかもしれません。

 

ゆっくり読む時間がいつ取れるのかは謎ですが、ひとまず、本棚に入れましたよ、という意味で書いておきました。

今後も、新しく買ったら随時書いていきます。みなさんの選書の参考になると幸いです。

2015年8月の記事のまとめ

8月は、本2冊、CD1枚を紹介しました。

少ない…。

 

・心理学の本

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

・副読本

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

「ロックンロールイズノットデッド」(サンボマスター)

「ロックンロールイズノットデッド」

サンボマスター ビクターエンタテインメント 2012年

 

サンボマスター - Wikipedia

なぜだかわかりませんが、本日(2015年8月23日)時点で、Wikipediaに、「ロックンロールイズノットデッド」の項がない。編集合戦に勝ちたい人はぜひ、項を作ってください。

というわけで、曲目リストをWikipediaで提示できませんので、曲目リストはAmazonにてご覧ください。

 

個人的なことですが、サンボマスターめっちゃ好きです。引きこもり心性なのに、ときたまライブに行くくらい好きです。

 

そんなサンボマスターの、「ロックンロールイズノットデッド」から2曲紹介します。

「恋する季節」と「あなたに心奪われたから」です。

 

「恋する季節」

http://j-lyric.net/artist/a000677/l02950d.html

歌詞かわいい。天才テレビくんに提供した曲ですね。恋の歌だー!と気持ちが高ぶる感じがします。

「孤独」という言葉が出てきて、ちょっと子どもには難しいような気もするんですが、そういう風に「大人として扱われる」ということによって子どもは大人になるのかもしれず、なんというかそういう楽曲提供の仕方もいい…隆…という気持ちになります。

ちなみに、天才テレビくんで使ったバージョンの歌詞だと、失恋しません。それもやさしさ。

 

「あなたに心奪われたから」

http://j-lyric.net/artist/a000677/l02950c.html

恋の歌でありつつ、怠学傾向の歌だー!さぼってんじゃねーよ学校!(たぶん大学?)

あと、こちらにも、「さびしさ」という言葉が出てきますね。やっぱり恋ってさびしいのかなぁ…。

 

サンボマスターは極論すると恋の歌しか歌ってませんが、その恋はとても自我と密接に関わり合っていると感じます。なんというか、自分の(心理的な)成長を伴うタイプの恋愛を歌っていると思います。今回紹介した2曲だと、「あなたに心奪われたから」は、相手のために成長するという気持ちに溢れた歌詞になっています。そういうところが、青年期っぽくて好きです。

ちなみに、初期の歌は、ちょっと病んでていいなーと思います。いまの明るい歌もいいけどね。いずれにせよ青年期的。

一度聴いてみてほしいものです。

 

さて、関連して、恋愛が気になった人にはこちらを、

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

孤独感が気になった人にはいつも通りこちらとこちらを、

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

怠学傾向が気になった人にはこちらを、オススメしておきます。

psychologicalbookshelf.hatenablog.com

 

この本棚の本とCDは、全て連関しているのです。

『今日から地球人』(マット・ヘイグ)

『今日から地球人』

マット・ヘイグ 早川書房 2014年 

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著者がパニック障害の体験者です。

パニック障害 - Wikipedia

不安系の障害ですね。

 

まずね、小説としてすごくおもしろい。映画化もされるようです。ということで、小説を読むのが好きな人は読みましょう。

とか書いてしまうと、お前のブログはただの読書ブログか、となってしまうので、少しは心理学っぽい読み方について提案しましょう。

『今日から地球人』は、宇宙人が地球人になりすます話です。しかし、人間っぽい姿形でコソコソ暮らすのではなくて、すでに生きていた人間の中身を(どうやってかはよくわからないですが)抜いて、そこに入ります。つまり、「続き」を生きる。

そのときに、人間社会のことがわからなくて変な行動をしてしまったり、入った人間の情報が足りなくて、その人らしくないことを言ってしまったり、します。そして、本を読んだり人に聞いたりネットで調べたり(現代的だ!)して、人間らしく、あるいはその人らしく、振る舞おうと努力します。

そして、最終的に、愛を理解して人間になります。でも、嘘はつかない。

これって、精神疾患を抱えて生きていくのと結構似ています。「普通の人がする普通のこと」ができない。わたしも、よく、判断がずれます。普通っぽくしようとしているんですが、価値基準とか持っているリソースとかが違うので、判断の結果がずれるんですよね。なんていうか、普通の人は革靴で歩いているんだけど、わたしは一本下駄で歩いている、みたいな感じ。同じように歩こうとするんだけど、歩幅も違うし、ふらふらしてしまうしで、目立っちゃう。そういう感じ。でも決して、目立ちたくて一本下駄履いてるわけじゃないですよ。下駄箱にそれしか入ってなかったんだよね。という感じ。

ファニーな例えになってしまった…。

それはそれとして、そういう風な理由で「普通」にできない人の困難が描かれています。

また、主人公は宇宙人なので、なんだか味覚がおかしいんですよ。いろんなものをまずいまずい言ってます。それってなんだか自閉症の人にも似ていませんか。

そういう風に読むと、なおさらおもしろいです。

そして最後に宇宙人が愛を覚えて人間になっちゃうんですが、それもまた興味深いんですよ。宇宙人にはいろんな特別な能力が備わっているんですが、人間になるにあたってそれを全部捨てる必要が出てきます。そして、捨てます。

精神疾患って、いろいろなものを与えてくれているんですよね。BPDであれば、他者の感情を推測する能力が健常者よりも高いとか、そんな研究があったはずですが、そういう風ないいところも、治ってしまえばほぼなくなってしまうはずです。あるいは、強迫性障害の芸術家なんかは、精神疾患であることから創作意欲とかインスピレーションを得ているのだと思います。そういうものを捨てないと、普通になれませんよ、と言われながら、治ることを志向するのも苦しい過程です。

でも、治ったら治ったで、得るものがあるんですよね。

愛とかね。あるいは、愛とか。もしくは、愛とか。

『今日から地球人』は、ミステリーだという説と、SFだという説があるみたいですが、これ、ただの愛の話ですよ。恋愛小説かもしれない。

だから、宇宙人かもしれない人と、地球人になりたい人と、小説を読むのが好きな人におすすめしたい本です。

そして、『今日から地球人』を読んで、愛について興味が出た人は、こちらもどうぞ。

 

『愛するということ』

エーリッヒ・フロム 紀伊國屋書店 1991年 

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『ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復』(レイチェル・レイランド)

『ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復』

レイチェル・レイランド 星和書店 2007年

 

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何から話せばいいかわからないんですが、わたし、境界性人格障害だったんですよね。

境界性パーソナリティ障害 - Wikipedia

いまは「境界性パーソナリティ障害」と改められましたが、わたしが初診を受けたときはまだ「境界性人格障害」でした。なんとなく、人格の障害という重い響きも、好きでした。でも、それは誤解を生むからというんで、パーソナリティ障害に術語の統一が図られたらしいです。

でもね、名前は変わっても、壊れている状態は同じだよね。

 

『ここは私の居場所じゃない―境界性人格障害からの回復』は、境界性人格障害の著者が、精神科を受診し、寛解するまでをまとめたものです。

女性なんですが、結構酷くて、入院も何度かしています。また、感情の起伏もかなり激しいし、性的な欲求を伴う転移とかもガンガンしていて、読んでいてもつかれます。

わたしは自分もBPD(境界性パーソナリティ障害)経験者なので、「あー、わかるわかる」とか、「この人わたしよりだいぶ酷いな…」とか思いながら読みました。

ただ、普通の人が、どう読むかはわからないな、と思いました。

実はわたしには前科があるんですよね…。大学生のときに『17歳のカルテ』を観たんですが、誰が精神疾患なのかわからなかったんですよ…。後で聞いたら、主人公がBPDだったらしい…。主人公の思考、「あーわかるわかる」だったんで、異常なの気がつかなかったんだよね…。

 

なので、『ここは私の居場所じゃない」も、自分がどれくらい読めているのか、あるいは健康な人は何に共感できないのか、ちょっとわからないところはあります。

しかしながら、自分はかなりいろいろなものを得たという実感はあります。

「決意」の話なんですよね。

全ての疾患は、病と共に生きていくことが最終的な命題になるのだと思います。腰痛だって糖尿病だって、天寿より先にその病気が命を終わらせることがないようにコントロールするわけでしょう。ジム行ってみたり、食事に気を遣ってみたり。でも、ジム行くのめんどくさい日もあるし、暴飲暴食したい日だってある。けど、病気を得たまま病気で死なないことが命題である限り、そういう全部と付き合っていかねばなりません。

それって案外、精神疾患でも同じなんですね。もちろん、BPDも例外ではありません。

そういうのを、自分は意識する機会がなかったので、新鮮でした。そして、BPDは寛解すると信じられたのも大きかったです。

 

おかげかどうかはわかりませんが、もう腕も切っていないし、安定剤も飲まなくなりました。病院も行ってません。

だいたい治った。

初診のときに、この状態はイメージできなかったので、インテーク面接のあったあの日のあの部屋にもう一度行けたら、ニヤッと笑ってあのときの自分と握手してあげたいような気持ちです。

でもけどわたし、リストカットも安定剤も好きだったんで、BPDだったことはあんまり恨んでません。わたしをBPDにした要因のことは憎んでいるけどね。BPDだったこと自体は、そういうものだな、と思っています。そしてそれは、終わってからもわたしの人格にスパイシーな何かをつけ加えてくれていて、それでわたしを気に入ってくれる人もいるみたいだし、うれしいなあと思う限りです。

もしも渦中にある人には、寛解のイメージを持つために、オススメしたい一冊です。

もっと具体的な対処法が知りたいときには、こちらなんかもどうぞ。

 

『自分でできる境界性パーソナリティ障害の治療 DSM-Ⅳに沿った生活の知恵』

タミ・グリーン 誠信書房 2012年 

自分でできる境界性パーソナリティ障害の治療 DSM-IVに沿った生活の知恵